大阪地方裁判所 昭和37年(ワ)1750号 判決
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〔判決理由〕五、被告山陽商会の賃借権は、原告に対抗できない。
被告山陽商会は、昭和三八年一二月一日以来、亡龍美より、本件建物を賃借して居住していることが認められるが、一方冒頭認定のように、同被告は、原告に対し、昭和三六年一〇月一〇日、亡龍美の貸金債務ならびにその不履行の際の本件家屋引渡義務につき、連帯保証債務を負担していたところ、前記のように、その不履行により、亡龍美は本件家屋の所有権を失い、原告に対するその引渡義務を生ぜしめるにいたつた。
右連帯保証債務の効力について、検討してみると、一見右約旨は、借家法第一条、第六条により、強行規定に反し効力を生じないともみえるけれども、本件家屋についての譲渡担保設定により第三者である被告山陽商会に対して、原告は所有者の立場となり借家法第一条により、その賃貸人の地位を承継したものであつて、右連帯保証債務も、その賃貸借の目的物件に関する以上、賃貸借契約と関連づけて解釈するのが相当である。
ところで、本件譲渡担保の被担保債権は、前示認定のとおり、もともと、実質的には、被告山陽商会の債務を肩代りしたもので、亡龍美は、物上担保提供者の位置にあり、しかも、被告山陽商会の原告に対する賃料支払の定めも、特になされた占有使用の権限と、被担保債権の履行とは一つの対価関係にあり、右被担保債権の不履行の際における被告山陽商会の本件家屋引渡義務の連帯保証債務は、賃料相当の対価である本件譲渡担保の被担保債権不履行の際における原告、被告山陽商会間の賃貸借契約の催告を要せぬ解除の効果発生を意味する特約と考えるのが相当であり、右混合契約の性質と、対価の重大さから、右特約は有効と認められる。(資料<証拠>、弁論の全趣旨)
そうすると、前示認定のとおり本件貸金債務の不履行により、被告山陽商会は、原告に対抗できる賃借権を、解除により失い、昭和三六年一二月一〇日以降権限なく、本件家屋を占有しているということができる。 (舟本信光)